Nos intervalos da vida lembro do rudio do mar.

Nos intervalos da vida lembro do rudio do mar.

人生のあいまに、海の音を思慕う。

 

Saudade

ブラジルの公用語はポルトガル語です。関西ブラジル人コミュニティでは毎週土曜日に日本語とポルトガル語母語教室を開講しています。Saudadeはポルトガル語以外には存在しない単語で、「何か」または「誰か」から距離が離れていること、またはそれが無いことにより引き起こされる感情をいいます。郷愁、憧憬、思慕、切なさなどの意味合いを持ち、言語の由来はラテン語で孤独を意味するsolitas, solitatisとされています。Sausageという言葉にブラジル人は特別な感情を抱いています。

Nos intervalos da vida lembro do rudio do mar.
人生のあいまに、海の音を思慕う。

MarUmi

Marはポルトガル語で海を意味する。MarUmiはふたつの海をつなげた造語。ゲーテの色相環を表したColorの「Trace of being」の作品にMarUmiの文字を筆記体で何度も粘度ヘラで書き付けた(彫った)。フロッタージュによって浮かび上がる矩形、クレパスの線の重なりによる層、スクラッチにより彫られた層であるがその痕跡が視覚の中で混ざり合い、距離によって見え方が変化する。それはまた、海をどこから、どのように眺めるかということにも似ている。

Seiren

本作はMarUmiの制作時に出来た副産物である。MarUmiの白バージョンのテストピースをMarUmiの制作時に紙を重ねてクッションとして使用した。挟まれた紙とスクラッチの筆圧によってクレヨンが間接的に写し取られた状況から、これを行為の残響(Echo)と捉えた。そこから本展の展示テーマにおいてタイトルを「Seiren」と名付けた。ギリシア神話に登場する海の怪物。海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる。歌声に魅惑された挙句セイレーンに食べられた船人たちの骨は島に山をなしたという。その名の語源はSeirazein「紐で縛る」「干上がる」という説がある。ゲーテの代表作「ファウスト」にも登場する。