Adams

移住ミュージアム1階に入ると開墾のための農具が展示されている。土は焼成の火はもちろん、柔らかさや重力や水分など自然現象を読みながら造化してゆく必要がある。自然現象と付き合いながら造化するプロセスは水墨画と少し親和性がある。土に触れる痕跡が、墨の筆致の痕跡に重なるのである。ブラジルの民間信仰カンドンブレ（Candombre）はアフリカの土着宗教が奴隷貿易と共にブラジルへ渡来し、カトリックの強制改宗に伴って独特の発展を遂げる。旧約聖書の人間の起源は神によって土の塵からつくられたAdamである。先人もおそらく、大地と人間はつながっているように感じたのだろう。

本作は2021年に参加したC.A.P.クレイスタジオのレジデンスプログラムで制作した。制作した50体のAdamsはKOBE STUDIO Y3での個展「あいまに海を眺めている」にて半数ほど発表した。