個展「あいまに海を眺めている」

展覧会名 あいまに海を眺めている

会期 2021年11月13日㈯ ─ 11月28日㈰ 10:00~19:00 月曜日休館
料金 無 料
会場 KOBE STUDIO Y3
〒650-0003 神戸市中央区山本通3-19-8 海外移住と文化の交流センター 4F

*3F事務局のワイワイSHOPでも作品や作家関連商品を販売します。是非お立ち寄りください。
アクセ ス JR・阪神「元町」駅より徒歩15分、地下鉄「県庁前」より徒歩10分、三ノ宮から市バス7系統で「山本通
3丁目」下車徒歩2分。お車でご来館の方は、有料駐車場(9:00~18:00)をご利用ください。

問い合わ せ C.A.P.(芸術と計画会議)
Phone&fax:078-222-1003
Email: info@cap-kobe.com
URL:http://www.cap-kobe.com/
(10:00-19:00 月曜休館)

KOBE STUDIO Y3では、2021年11月13日㈯から11月28日㈰まで、山下和也による個展 「あいまに海を眺めてい
る」を開催いたします。 日本画家であり、東洋絵画修理技術者(国宝修理装潢師連盟外部技術登録者)として
活動する山下和也(やました・かずや/1978年・大阪生まれ)は、2003年に京都嵯峨芸術大学付属文化研究所
研究生を修了後、日本・中国の古典絵画の模写と文化財修復で培った技術と経験をベースに、日本の歴史や文
化、思想を顧みながら、伝統芸術と現代芸術を捉えなおすことを主眼に作品を制作しています。近年は特に水
墨表現に着目し、目には見えない「気配」のような ものを、淡墨とほんの僅かな筆致、余白によって表現する
罔両画(もうりょうが)に取り組んでいます。また、墨を用いてアクションやパフォーマンスの領域を横断す
る、8世紀の中国の芸術表現「破墨」について考察し、神楽舞手、ファッションデザイナー、美術家とともに、
現代にその再構築を試みる「破墨プロジェクト」を2018年より企画し、2020年からC.A.P.メンバーとして参加す
る六甲ミーツ・アート芸術散歩では、書や文字を起点とした参加型のプロジェクト、インスタレーションを発
表するなど、幅広い領域での活動を続けています。
本展の会場は1928年に建てられた旧国立移民収容所であり、現在は移住ミュージアム(日伯協会)、日系ブ
ラジル人コミュニティ(CBK)、アーティストコミュニティ(C.A.P.《芸術と計画会議》)が指定管理する建物
です。KOBE STUDIO Y3はC.A.P.が行なうオープンスタジオプロジェクトで、4階の各部屋はアーティストのスタ
ジオが常時公開されています。山下は2017年より神戸に移り住み、スタジオで活動しています。
本展は移住ミュージアムの常設展示と個人の日常を着想源に絵画を中心とした作品によって構成しています。
場所の歴史や固有性と自身の日常を顧みることから紡ぎ出した本展の主題と内容は、前述の3つのコミュニ
ティの人たちの協力や交流を経ながら制作に取り組みました。絵画では破墨プロジェクトで取り組んだ長谷川
三郎の研究を契機に、乾式拓本技法や型紙を使いblankやvoidを生成し重ね合わせて像を浮かび上がらせる技法、
宣紙の吸水現象を用いた技法など、あらたな試みが見られます。材料技法へのこだわりの一方で、山下はフィ
ンランドのレジデンス先で日本画の画材が入手できない状況から、慣れ親しんだ画材以外でも造形を試みる契
機を得ました。本展にあわせて6月からC.A.P. Clay Studioのレジデンスに参加し、土によるあらたな造形を試みた
のもその体験が影響しています。また帰国以降、影と共に光と色彩や大気と水に対する関心を深めています。
展覧会名の「あいまに海を眺めている」は、鑑賞者に想像する余白を持たせたタイトルです。鑑賞者は作品
を通じて自らの記憶とこの場所の歴史と記憶、作家の眼差しを想像してみることが可能です。階下の移住ミュ
ージアムには私たちに繋がる近い過去の歴史を伝える常設の展示空間があるので、この機会に是非あわせて鑑
賞してください。作品と建物、鑑賞者とのあいだに個人や国、時代を超えたパースペクティブ(空間、視座)
が立ち上がり、さらにそのあいまを眺める行為から過去・現在・未来を眼差す海を眺めることが出来るのでは
ないでしょうか。