日本画滅亡論

会場:中京大学アートギャラリー・C・スクエア(名古屋)
会期:2007.9.24(man)-10.20(sat)

参加作家:会田誠・秋山祐徳太子・内田あぐり・木島孝文・岸本清子・清河恵美・佐藤裕一郎・篠原有司男・立石大河亞・フジイフランソワ・三上誠・水谷勇夫・三瀬夏之介・山口晃・山下和也・山本太郎・ヤンシヤオミン・蓬田やすひろ(資料出品:赤瀬川原平)
キュレイター:森本悟郎

C・スクエア秋シーズンの劈頭は第81回企画「日本画滅亡論」展です。この展覧会には、会田誠・秋山祐徳太子・内田あぐり・木島孝文・岸本清子・清河恵美・佐藤裕一郎・篠原有司男・立石大河亞・フジイフランソワ・三上誠・水谷勇夫・三瀬夏之介・山口晃・山下和也・山本太郎・ヤンシヤオミン・蓬田やすひろの18作家が出品(資料出品:赤瀬川原平)し、こんにち「日本画」「洋画」と呼ばれている絵画ジャンルのあいまいさ、ジャンルとしての不可能性を作品から浮かび上がらせます。展覧会趣旨はきわめて真面目で深刻ですらありますが、作品はおおいに楽しめるものを用意し、「笑って、ためになる」展観をめざしました。ぜひご覧くださいますようお願い申し上げます。

C・スクエア 森本悟郎

展評 http://www.dnp.co.jp/artscape/exhibition/review/071101_04.html

近年「日本画」への注目が高まるなか、その「滅亡」を謳った展覧会。三瀬夏之介や山本太郎といったゼロ世代の旗手をはじめ、会田誠や山口晃、内田あぐり、清河恵美、水谷勇夫、秋山祐徳太子、赤瀬川原平、篠原有司男、立石大河亜など、狭義の「日本画」にかかわらず、古今東西さまざまな絵描きによる作品が一挙に見せられていた。それらをひとつひとつ丁寧に見ていくと、画材の面でもモチーフの面でも、いったい何が「日本画」なのか、その定義がますます分からなくなり、ジャンルとしての「日本画」の無根拠性を暴くという企画者のねらいは見事に達成されていたようだ。にもかかわらず、「日本画」が滅亡するどころか、今も存続しているということは、作家のねらいや鑑賞者による受容とは別次元で、何をどのように描き出そうが、作品が「日本」に収斂されていく力がどこかで働いているように思えてならない。それを端的に言い表せば、「天皇制」ということになるが、「日本画」のみならず、あらゆる文化制度や社会制度を貫徹するこの独特の条件を、もっとも自覚的に、そしてもっとも明示的に表現していたのは、会田誠の《一日一善》だけだった。「日本画」を廃棄するにせよ、その存命を図るにせよ、この土地でまことの表現を成り立たせるには、たんに「日本」を記号として消費するのではなく、「天皇制」という根源的な条件を念頭に置かなければならない。

[10月5日(金) 福住廉]

artscape 展覧会レビュー07年11月より